今回の記事は完璧に50おとこの勝手なノスタルジーです。
なので共感は特に求めません。
また彼女の事を記事にするのは、これが最初で最後です。
今から遡ること9年前、40歳を過ぎた妻子ある中年サラリーマンが一人のアイドルにどっぷりはまりました。
彼女はあるアイドルグループのセンターでした。
数多くいるメンバーの中でも飛びぬけて若く、それでいて大人っぽい風貌、意志の強い瞳・・
ひとたびステージにあがるとグループ全体を統率するカリスマ性、華のあるスケールの大きいパフォーマンス、指先や視線まで気持ちの通ったキレのあるダンス、そのどれもがとても魅力的な子でした。
私は何度か直接そのパフォーマンスを見る機会がありましたが本当にステージ映えのする才気あふれるパフォーマーだと感じました。
そして、そんな彼女の生まれ持った素養とその特殊なデビューの成り立ちから「その後の彼女の物語」を追わずにはいられませんでした。
松井珠理奈。
私は彼女の14歳から18歳の4年間、この自分の娘とさほど歳の変わらないアイドルをファンとして応援してきました。
そう、熱狂的なファンというよりも少し距離を置いて娘を見守るように「応援してきた」という表現がふさわしいスタンスでした。
その松井珠理奈が2月7日のSKE48劇場公演で突然、卒業発表をしました。
というわけで今回は彼女の卒業を祝するとともに今後の活躍を期待して松井珠理奈のことを書いてみたいと思います。
いろいろ誤解されることが多い彼女ですが私は松井珠理奈ほど真っ直ぐに愚直に48グループに向き合ってきたメンバーはいないと確信しています。
また松井珠理奈がいなければ今の48グループも坂道グループも存在していないとさえ思っています。
Contents
松井珠理奈を知るきっかけ
当時の私は今まで所属していた部署が廃部となり全く新しい仕事に配属されたばかりのころでした。
これまでのキャリアがリセットされ40歳を過ぎて一から教えてもらう日々。
正直に言えば会社に向かう途中に足が止まることが何度もありました。
松井珠理奈を知ったのはそんなときでしたね。
当時はまだAKB48もそこまで有名ではなくむしろ個々の活動のほうが目立つくらいでした。
そんな私も篠田麻里子や板野友美をCMで見てAKBに流れてきたくちです。
まだそれほどAKBの情報は地上波では多くなく自ずとYouTubeで動画をあさるようになりました。
そこでAKBのメンバーに混ざってひときわ目立つキビキビとした大きくキレのあるダンスを披露する一人の少女に目が行きました。
その少女は決して美少女というわけでもなく、とりたててスタイル抜群でもなく、アイドルらしい愛らしさがあるわけでもありませんでした。
でも私の目は彼女のパフォーマンスに釘付けになっていました。
それが松井珠理奈との出会いですね。
11歳に課せられた過酷な宿命
彼女のパフォーマンスに魅せられた私が松井珠理奈の11歳の衝撃デビューからの壮絶なストーリーを知るまでにそれほど長い時間はかかりませんでした。
そう、ある意味「AKB48の歴史」はこの11歳の少女の登場によって一気に時計の針が動き出したのです。
AKB48の姉妹グループの第一弾、といってもおそらくこのSKE48の成功がなければその後の姉妹グループや坂道グループはなかったのではないでしょうか・・
そんな新しいグループのオーディションで松井珠理奈はプロデューサーの秋元康から「10年に一人の逸材」「ダイヤの原石」と評され第一期生となります。
その直後、このわずか11歳の少女にとんでもない運命が用意されていました。
AKB48の10作目シングル「大声ダイヤモンド」の歌唱メンバーに初選抜、さらにAKB不動のセンター前田敦子とのWセンターに大抜擢されたのです。
この時点でまだ松井珠理奈は劇場公演デビュー前であり、SKE48の正式メンバーですらありませんでした。
結果この大抜擢がその後長い間、彼女を苦しめ続けるいわゆる「アンチ」を産むことになります。
転機となった「大声ダイヤモンド」
松井珠理奈ファンにとってこの「大声ダイヤモンド」はある意味、特別な楽曲です。
まさにこの楽曲から彼女の長きにわたる48グループでの宿命のような道のりが始まり、AKB48がメジャーへの階段を駆け上がるきっかけにもなります。
いきなりAKB48の選抜メンバーにしかも前田敦子とのWセンターとして放り込まれた11歳のまだ素人同然の小学生・・
想像してみてください。
どれだけ心細く、不安だったことでしょう。
でも松井珠理奈は負けない。
そうすることを心良しとしない強さを11歳のこの少女は持ち合わせていました。
彼女は精一杯踏ん張ったことでしょう。
AKBの生え抜きメンバーやファンの視線、むき出しの想いをストレートに浴びながらも彼女は自分の役割を全うしたのでしょう。
いわゆる「じゅりなショック」と呼ばれる外圧によって覚醒されたAKB48はこの「大声ダイヤモンド」を転機にその人気を急加速させていきます。
この「大声ダイヤモンド」はなかなかブレイクしないAKB48にとってレコード会社もキングレコードに変わってのある意味「勝負曲」でもあったのです。
その勝負に当時11歳の松井珠理奈は切り札としてなのか起爆剤としてなのか、とにかく放り込まれたわけです。
そしてその大博打にAKB48は勝ったのです。
しかしAKB48の成功の一方、勇気を振り絞って前面に立ち続けた11歳の少女には「ごり押し」「生意気」のレッテルが貼られていくのです。
欅坂46はSKE48をブラッシュアップしたグループ
こう書くと欅坂のファンからは文句が出そうですね。
あくまでも個人の意見なので気になる方はスルーしてください。
彼女が所属するSKE48は「激しいダンス」を売りにしたグループでした。
センターの松井珠理奈を筆頭にアイドルらしいパフォーマンスよりも汗の量を誇りにするようなグループでした。
SKE48にはその後、松井珠理奈と何年も人気を二分して微妙な距離感を維持する事となる松井玲奈がいました。
2人はその同姓から「W松井」と呼ばれSKE48の二枚看板となっていきました。
今、大人気の欅坂46ですが私はどうしても初期のSKE48が目指した姿と重なるんですよね。
奇しくも松井珠理奈と平手友梨奈は同じ愛知県の出身で若くしてセンターに抜擢されたダンスを武器にするメンバーですね。
そんな二人が同時期にグループを離れる事を発表したのも何かの縁ですかね。
松井珠理奈と選抜総選挙
松井珠理奈と選抜総選挙は切っても切れない関係です。
それくらい彼女は選抜総選挙の順位に強いこだわりを持ち続けてきました。
それはもちろん自身の1位を目指すという事もあったでしょうが、おそらくAKB48に勝ちたい!という強い思いがあったんじゃないかなと思います。
AKBに可愛がられる後輩グループではなくAKBに恐れられるライバルグループになりたい!
そんな思いが松井珠理奈や当時のSKEメンバー、あるいはファンにはあったんだと考えます。
私自身ももちろんそんな一人でした。
私が珠理奈のファンであった期間は選抜総選挙でいうと「第三回選抜総選挙」から「第七回選抜総選挙」までの間です。
第三回は前田敦子が、第七回は指原莉乃がそれぞれ1位に返り咲いた選抜総選挙でした。
珠理奈の選抜総選挙にかける熱意は毎回高くファンも大変だったと思います。
第三回は珠理奈が初めて松井玲奈に順位を抜かれてSKE内でNo2に陥落した選挙でした。
第七回は18歳になり満を持して挑んだものの前回より順位を落としての5位に沈んだ選挙。
結局、松井珠理奈は指原莉乃や渡辺麻友ら上位メンバーが卒業した後、2018年第10回選抜総選挙で念願の1位を達成します。
アンチと闘い続けた12年間
松井珠理奈も彼女のファンも11歳のデビューというより「大声ダイヤモンド」で大抜擢されて以降、卒業を発表した現在までアンチと闘い続けてきた。
「ごり押し」「生意気」「わがまま」「傲慢」・・
握手会で直接、ネットでの姿なき誹謗中傷・・
普通のメンタルならもうとっくにダウンしているでしょう。
実際、松井珠理奈はこれまでに何度も休養を余儀なくされています。
まるで盾にならない運営・・
それは昨今のNGT事件を見ても明らかです。
選抜総選挙で1位になったシングルでそのメンバーをセンターに立たせず、不在のままプロモーションを進める現実に本人はもちろんファンの多くは失望したことでしょう。
松井珠理奈という人は生真面目な性格なんですよね。
だから素直に「頑張れば結果が出る!」そう本気で思っている。
もちろんスポーツや受験勉強ならそうかもしれない。
でもアイドルやタレントは決してそうではない。
逆に頑張らない姿をあえて見せる事で人を惹きつけたり可愛いと思ってもらえる・・
そんな頑張り方もあるんですよね。
そのあたりを松井珠理奈は理解できていなかった。
もちろん、そんな一本気で常に熱い姿もまた松井珠理奈の魅力でもあるわけですが。
そう、松井珠理奈は決して小器用なタイプではありません。
むしろセルフプロデュース能力はないに等しい。
彼女は世間受けするような空気を読む力も術も持ち合わせていない。
48グループ内でそんな彼女が立場上対峙する事になったのが松井玲奈であり山本彩であり宮脇咲良です。
当然、かなうわけないんですよ。
この3人などはもうセルフプロデュース能力にかけてはトップレベルの素質を持ち合わせているプロ中のプロです。
まあ、この3人のはるか上をいくバケモノが指原莉乃なんですけどね。
でもね、そんな不器用な松井珠理奈だからこそファンは愛したんですよ。
宮脇咲良の沈黙
最初に言っておきますね。
私は宮脇咲良を批判しているわけではありません。
ただ、賢いと思っているだけです。
そう、あの物議をかもした「第10回AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」です。
確かにあの頃の珠理奈に関するニュースを少し離れた立場で客観的に見る限り「相当おかしいな」と感じていました。
そしてテレビ中継を見ていて、そのハイテンションぶりにも少し違和感を感じました。
もちろん誰よりもSKEメンバーの躍進を願っている彼女ですから喜ぶのはわかるのですがやや他グループメンバーへの配慮が欠ける印象でした。
そして念願の1位となった後のあのスピーチです。
かつて熱心なファンであった私ですら「どうした、珠理奈?」と唖然としました。
これが、あの松井珠理奈なのか?
本当にそう思いました。
そこには私の知っているあの生真面目すぎる不器用な松井珠理奈の姿はありませんでした。
なにか自分だけの世界に入ってしまったような妙な空気感を醸しだしていました。
「あ、やばいやばい、珠理奈やばいよ、これ!」
私は心の声を思わず口に出してしまい奥さんと娘から笑われてしまいました。
そうなんです。
奥さんと娘は珠理奈のスピーチを大笑いで見ていたんです。
つまりそういう事ですよ。
彼女のファンならともかく松井珠理奈をさほど知らない視聴者からすると彼女のスピーチする姿は「笑いもの」にすぎないおそまつなものだったんです。
私の知っている松井珠理奈だったら真摯に真っ直ぐな瞳でファンへの感謝、他メンバーへのねぎらいを真っ先に口にしたはずなんです。
やはり疲れていたんでしょうね。
地元開催、しかも上位メンバーが抜けた後の選挙、宮脇咲良との一騎打ち、いろんなプレッシャーが彼女にのしかかったのかもしれない。
ただ、だからといってその後の彼女への一大バッシングが許されていいという事にはならない。
まだ21歳の一人の若い女性に対して向けられた低俗な誹謗中傷、ネットという自らを安全な場所に置いての攻撃・・
これはもういじめ以外の何物でもない。
一連のバッシングの原因ともなった宮脇咲良への対応にしてもここまで大きくなる問題だったのでしょうか。
正直に言えば、宮脇咲良がしっかり踊らないのはその通りなんですよ。
それをかつてのAKB48を知る先輩である珠理奈が注意するのは決して間違ってはいない。
AKB48の快進撃が始まる黎明期の「大声ダイヤモンド」「10年桜」「涙サプライズ」と続く井上ヨシマサ作曲による一連の作品にメインメンバーとして参加してきた松井珠理奈にとってはダンス、振り付け、その一つ一つが大切な歴史でありAKBの魂だったんだと思います。
その歴史や魂の継承を考えてのアドバイスだったのではないでしょうか。
私はなにも宮脇咲良のダンスを否定するわけではありません。
自分を可愛らしく一番魅力的に見せるダンスはアイドルにとっては重要なことです。
また珠理奈のようなメンバーとのアイドルに対しての価値観の違いもあるでしょう。
ただ、それをするのであれば自らが所属するHKT48ですればいいだけの事です。
AKB48名義の選抜シングルでなお、往年の名作のパフォーマンスならばやはりしっかりとその魂を受け継いだパフォーマンスをするべきと珠理奈が思うのも無理はない。
あくまでも私個人の意見なので、こうした経緯、背景が事実かどうかはわかりません。
でも少しでも48グループの歴史を知っているファンならそこまでバックグラウンドに思いをはせてもよかったのではないか。
それをせずにやみくもに松井珠理奈への誹謗中傷を重ねてたあの時、そして今も続くこの状況は異常と思いますね。
しかし、それにしてもあの当時の宮脇咲良にはまったく感心します。
これ、皮肉じゃないですよ。
「語らないこと。」
この沈黙のなんたる強い事か。
私は宮脇咲良という女の子の賢さというか凄みに感嘆しましたね。
所詮、珠理奈がかなうような相手ではなかったということです。
松井珠理奈が目指した48グループトップの座
なんだかとりとめのない文章になっていますね。(笑)
もうずいぶん松井珠理奈との距離を置いてきているので今はフラットに彼女の立ち位置を見る事が出来ます。
松井珠理奈のファンをしていると本当に神経を擦り減らすんですよね。
それは彼女が常に必死で全力でトップを目指していたからですね。
でもそれだけ推し甲斐のあるメンバーでもあったんです。
忘れもしません、あれは松井珠理奈17歳の生誕祭、チームS公演で彼女の口から発せられた言葉・・
「今までSKEの為に、SKEに命を懸けてAKBを抜くぞ!という気持ちでやってきて・・」
私はこんなセリフを本気で口に出来る17歳って凄いと思うと同時に少し切なくも感じたんですね。
でも松井珠理奈があたかも体現したこの「マジの精神」こそが48グループの神髄だったんじゃないのかなと思ったんですよ。
その「マジ」がいつの間にか失われていくと同時に松井珠理奈の存在価値も松井珠理奈が目指すべき48グループトップの座の輝きも消失してしまったのでしょう。
つまり「松井珠理奈の物語」もある意味、この時点でピリオドを迎えたという事かなと。
私自身は彼女を応援していた後半は、正直もう早く卒業して欲しいと思っていました。
それは先ほど書いたように彼女が全身全霊で向き合うような48グループでは既になくなっていたからですね。
私は48グループとは「松井珠理奈がその頂きにたどり着き戴冠するまでの極上な叙事詩」だと考えて見ていました。
ただ途中から既にその姿は名ばかりで形骸化していきました。
もうこのグループには松井珠理奈が目指すべき頂きも、彼女が存在するだけの価値もないように思えたからです。
ダイヤの原石が輝くのはこれから
だから今回、彼女が卒業を表明してくれてどこかほっとしています。
正直、時機を逸した感はありますが・・
松井珠理奈の卒業は本来ならばもっと大きく扱われても良い出来事です。
なぜなら松井珠理奈は48グループの歴史において計り知れない貢献をしてきたメンバーでもあるからです。
初めての姉妹グループをけん引し、初めてAKBメンバー以外で選抜入りをし、初めてAKBメンバー以外でセンターに立ち、そして初めて兼任メンバーにもなりました。
彼女は常に先頭の矢面に立たされてきたのです。
そしていつだってそこから逃げることなく立ち続けたんですよ。
今の48グループ界隈には、そんな彼女に対してあまりにもリスペクトの気持ちが足りないのではないかと憤りを感じますね。
きっと現在進行形で彼女のファンであり続けている人達にとってはやるせない状況でしょう。
と同時に私のように途中で離脱してしまった者からすれば本当に頭が下がる思いです。
珠理奈同様、ファンの皆様に対しても「長い間、お疲れ様でした。」と言いたいですね。
最後に松井珠理奈の今後について。
正直、私にはどのフィールドで松井珠理奈が輝くのか確かな答えが見つかりません。
それくらい彼女は自分自身の価値やスキルを高めるための貴重な時間を48グループに費やし過ぎた。
厳しい見方をすると48グループ在籍期間にどのフィールドにおいても将来への可能性に対しての扉を開くことが出来なかったとも言えます。
アイドルとしてアーティストとしてタレントとして女優として・・
48グループにおいて初期メンバー、主要メンバーとしての確固たる地位を築きながらも振り向けば須田亜香里などの後輩メンバーに「芸能人」としてのポジションで後塵を拝している。
これは彼女自身、大いに反省すべき事でしょう。
また彼女自身にはどうしようもない誹謗中傷による精神的なダメージやストレスがあったとしても、これほど休養が頻繁に起きればタレントとして起用するスポンサーも二の足を踏まざるを得ない。
今の松井珠理奈に「もっと強くなれ!」というのは酷かもしれないが、でもそういうことなんだと思う、彼女の進みたい道とは。
ただ常に新しい局面にひるむことなく立ち向かっていった彼女ですからきっと卒業後の道なき道にも勇気をもって突き進んでいってくれるでしょう。
松井珠理奈がまた颯爽と階段を登ってくる姿を待ちましょう。
ダイヤの原石が磨かれるのはこれからですから!
珠理奈、卒業おめでとう!