芸能

映画「新聞記者」日本アカデミー賞・最優秀作品賞受賞にみる爽快感!

新型コロナウィルス感染拡大を考慮して無観客で開催された「第43回日本アカデミー賞授賞式」ですが、意外な結果となりました。

「新聞記者」が最優秀作品賞など3冠を達成しました。

「意外な結果」と書いたのはもちろん良い意味でですね。

という事で今回は映画「新聞記者」が予想に反して正当な評価を得たことについての感想を書きたいと思います。

結論として、このいろんな意味でヘビーな作品に出演したW主演の2人、とりわけ既に日本の芸能界において人気若手俳優の地位を確立している松坂桃李の勇気を称えたい。

と同時にこの作品がきちんと評価された日本映画界はまだまだ捨てたもんじゃないという話です。

Contents

「新聞記者」ってどんな映画なの?

まずはそもそもこの「新聞記者」ってどんな映画なの?ってことですよね。

おそらく観ていない人も多いと思うんです。

上映当時、私は家族で見に行きましたが夜遅い上映時間にもかかわらずかなりの人が足を運んでいました。

年齢層は結構高そうでしたが、若いカップルや一人で来られた方もいましたね。

もちろん松坂桃李のファンもいたでしょうが、それを差し引いてもこの作品がかなりの求心力を持っていたことがうかがえました。

ただ私達が見た時期はタイミング的にこんな空気感が流れていたことも書かなければないけませんね。

それは・・

「上映中止に追い込まれる前に観なければ!」

そんな危機感がおそらく多くの人の足を映画館に運ばせたんじゃないでしょうか?

そんなことを考えさせるくらい、この作品はかなり日本の政治、しかもリアルタイムの政治に深く攻め込んだ内容だったんですね。

では簡単に「新聞記者」の内容を書きます。

東京新聞記者・望月衣塑子の原案の社会派サスペンス。

若き女性新聞記者のもとに届いた医療系大学新設に関する極秘情報。

その裏に隠された真実を追い求めるうちに彼女は国家を揺るがしかねない官邸とメディアの裏側を目にすることになります。

一方、若きエリート官僚は現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していきます。

そんな二人が国家が抱える巨大な「闇」と向き合いながら対峙をしていきます・・

ざっくりと内容を書きましたが、この作品の何が凄いってここ最近の現政権下で起こった数々の事件を思い起こさせるエピソードがいくつも描かれているんですよね。

詳しくは書きませんよ。

出来たらレンタルでもDVDを購入してでもいいのでぜひ観てもらいたいですから。

現政権下での表現への圧力が高まっている状況でこのような内容の映画は相当大きなリスクや困難があったことでしょう。

それだけに、この作品がまず作られ公開されたことに正直驚いたんですよ。

と同時に、この作品が上映される日本という国はまだまだ捨てたもんじゃないなとも思いました。

シム・ウンギョンでなければ成立しなかった!

W主演のひとり、シム・ウンギョンは「怪しい彼女」などで知られる韓国の演技派女優です。

これは想像ですが、仮に日本の人気女優にオファーがあったとしてもさすがに事務所的にはNGだったと思うんですね。

でもシム・ウンギョンで良かったというか、彼女でないとここまでの作品の完成度にはなっていなかったと思います。

個人的には、あまりなじみのない彼女が演じただけに素直に映画の世界に没入することができました。

その表情だけでこちら側に緊迫感が伝わってくるような・・

若い新聞記者の持つ強い意志と正義感、そしてあきらめと絶望、そんな様々な感情を力まずリアルに演じ切りました。

ちょっと日本の女優さん達も負けてはいられませんね。

この作品に出演した松坂桃李の男気に拍手だ!

もう本当、これね。

若手実力派の人気俳優としての地位を築いている彼にとってはこうした作品に出演する必要が果たしてあったのか。

ともすれば現政権への批判とも受け取られかねない作品ですからね。

これはある意味、相当危険な出演だったと想像できます。

現に松坂桃李はインタビューで「番宣はほとんどできなかった」と答えています。

すごいな、松坂桃李。

上映している時も、本当にそう思った。

彼ほどの人気俳優が多くのリスクを負ってまでも自分の信念に従って出演したわけですからね。

そしてその選択を尊重した事務所もたいしたものです。

もちろん、公開中止に追い込まなかった現政権にも一応一定の評価をしたいと思います。(笑)

松坂桃李がW主演のひとりを引き受けたことはとてつもなく大きい事でした。

それは彼ほどの人気俳優が主演することで、ともすればマニアックなアンダーグラウンド的な映画として片隅に追いやられてもおかしくないところをメジャーな道に引き戻したともいえます。

間違いなく人気俳優・松坂桃李の出演によって注目を集める映画になったんです。

その意味でも彼の勇気ある決断は大いに称えられることですね。

彼のこれまでの出演作品を見ても、果敢に幅広い役に挑戦しています。

良い役者になってきましたね。

楽しみです!

日本映画界も捨てたもんじゃない!

「バラサイト」の成功を見るまでもなく韓国映画界にかなりの差をつけられた感のある日本映画界です。

その一つの要因に監督や俳優の資質に加えて日本映画界にはある意味触れてはいけない問題があることもネックだと感じます。

例えば政治的な問題なんかその最たるものですよね。

そこが韓国との差の一つでもあるのかなと。

そう考えると「新聞記者」のような作品がしっかり作られ上映され正当に評価されることはとても貴重なことです。

もっといえば松坂自身が「ほとんど番宣できなかった」という作品が日本アカデミー賞授賞式という日本映画界のもっともメジャーな舞台で、しかもゴールデンタイムの地上波で堂々と評価されるというのが感慨深いですね。

私と奥さんはテレビを見ながら「賞をとってほしいけど難しいかもね」と話していました。

するとどうでしょう、なんとシム・ウンギョンが最優秀主演女優賞を受賞しました。

これは驚きましたね。

その後、松坂桃李が続けて最優秀主演男優賞を受賞しました。

これは本当に心から良かったと思いました。

なんというか、報われてよかったね、という感じです。

最後に最優秀作品賞ですが、これはさすがに当たり障りのない「キングダム」あたりかなと思いましたがあっさり「新聞記者」が受賞しました。

冷静に考えればとても当たり前の評価であり結果だったわけですが、ここ最近の我が国の在り方を見るとちょっと意外だったですね。

ある意味、忖度無しっていう感じですね。(笑)

でもちょっとだけ良い意味で裏切られた爽快感がありますね。

良かったです。

うん、まだ日本映画界も捨てたもんじゃない。

作品を通して何を感じるかが大切!

この作品は確かに現政権下で起きているいくつかのエピソードを連想させる内容もあります。

ただ、あくまでも作品はエンターテインメントでありオリジナルのストーリーなわけです。

大切なのはこの作品で描かれている世界が真実なのか嘘なのかではないと感じています。

そんなことはいくら深堀したって私達がわかるはずもないのです。

あくまでも映画は映画、楽しむものであるし、自分自身に自問自答するきっかけを与えてくれるものでもあります。

なのでこの刺激的な作品を通して一人一人が何を思い、何を描くのか、そんな時間を持つことが大切なんだと思います。

大それたことでなくても良いと思うんですね。

例えば松坂演じるエリート官僚が最後にとる選択ひとつとっても自分なら?

そんなことを考えるだけでも意味があると思うんですよね。

私は松坂桃李が演じるエリート官僚の気持ち、わかりますね~。(-_-;)

あなたはどうですか?

最後に松坂桃李がこの作品になぜ出演したかと問われて答えた言葉を載せます。

「この作品を通してちゃんと伝えたいなという思いがあったので出ました。まわりの情報などに惑わされずにちゃんと自分の目で自分の判断で選択できる意思を持とうよっていうメッセージ性を込めた作品なので」

これ、ちょっと新型コロナウィルス感染に右往左往する現状にも当てはまるような気がするのは私だけでしょうか・・

以上です!

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mitsutaka
50歳を過ぎてなお悩み多きミドルエイジが忖度無しで日々思う事を書き綴ります。

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